「公契約条例」全国初の制定について
ILO(国際労働機関)が、1949年6月に採択した94号条約(公契約における労働条件に関する条約)では、国や自治体など公的な機関が発注する事業 に従事する労働者に適正な水準の賃金や労働条件を確保するよう契約に明記することを義務づけています。
今日では、先進国をはじめ世界で59ヵ国が批准している状況にあります。
しかし、残念ながら日本ではいまだに批准されていません。
そのため、現行の法制度の中では、国や自治体が発注した事業に従事する労働者の賃金を適正に確保するための直接規制を行うことができません。
公共工事や業務委託などの公契約における入札方法は、我が国では長年にわたり指名競争入札によっていましたが、1993年(平成5年)のゼネコン汚職などの発覚により、指名競争入札が談合の温床になっているとの批判が高まりました。
しかし、一般競争入札の普及は、談合問題の改善に寄与したことは確かですが、同時に過度の競争による新たな弊害も生みだしてきました。国の状況をみると 一般競争入札の落札率が大きく低下する一方、低入札価格工事と入札後辞退工事の件数がともに急増しています。
この現象は、地方へ波及し、公共工事あるいは公共サービスの品質低下が懸念されます。
国や自治体の厳しい財政事情の中でコスト削減や競争性を重視した「安ければよし」との考え方が、業者の人件費を無視したダンピング受注やピンハネを横行 させています。下請けや孫請けで働く労働者にしわ寄せとなっていても、「最低賃金法」さえ守られていれば関知できない現状となっています。国に対し全国市 長会などから公共事業に従事する労働者の労働条件に問題があるとして法整備の要望が出されましたが、国の動きはありませんでした。
そこで、野田市は、国に先駆け「公契約条例」の制定を目指し、9月議会に議案の提出を行い、9月29日の本会議で可決される見通しとなっています。
この「野田市公契約条例」が可決され施行されることになれば、公共受注業者や業務委託業者に対して、野田市で決めた最低賃金を下回ってはいけないということになります。
この結果、最低賃金の底上げとなり、この条例が全国の自治体に波及して国の最低賃金の大幅改善へとつながることを期待しています。
20090901