大飯原発再稼働は認められない!

野田佳彦首相は、東電福島第一原発事故が起きた場合の深刻な課題が未完成、あるいは棚上げしたまま、大飯原発3・4号機(福井県大飯郡おおい町)を再稼働させる判断を示しました。これには、福島をはじめ多くの人々、脱原発をめざす首長会議も反発を強めています。
東電福島第一原発事故は、「津波」だけでなく「地震」の影響も否定できなく、いまだ原因が明確になっていません。明らかなことは、「絶対安全」、「想定外」は「ない」ということです。
多大な犠牲をはらい、今後とも深刻な被ばくの恐怖と不安、福島に帰郷できない方々の現実をよそに、まさに「再稼働」ありきで、「国民の安全」を危険にさらそうとしているのです。
また、野田首相は、「経済と雇用」を引き合いにしていますが、「経済と雇用」のために放射性物質の危険性、大気や土壌、海洋汚染も、子どもたちに迫る内部被ばくも容認するのであれば、野田首相の言う、「経済と雇用」とは、いったい誰のためのものなのでしょうか。原発に頼らない、「経済と雇用」こそ、震災の復旧・復興、原発事故の収束とともに、一刻も早く取り組まなければならない課題です。

  ストレステストは第一次評価であって、原子力安全員会斑目春樹委員長が「安全性を高める資料として、一次評価だけでは不十分」と指摘するように、全原子力発電所を対象とする二次評価が必要です。(今回の県原子力安全専門委員会は第一次評価で十分としている)

  事故時の災害対応の拠点となる免震重要棟(オフセットセンター)の建設、放射性物質の拡散を防ぐフィルター付きベント(排気)施設の設置は4年後完成予定。津波から放射線の熱を逃がす海水ポンプを守るなどの防潮堤の建設は2年後に完成予定など東電福島第一原発事故の教訓に基づいた教訓、対策は先送りされたままで、現時点では安全の担保にはなりません。

  これまで原子力発電所から10km圏内とされていた「防災対策を重点的に取り組む範囲」(EPZ)を、予防的防護措置を準備する区域(PAZ)、緊急時防護措置を準備する地域(UPZ)として、概ね30km圏内に広げていますが、その地域(京都府や滋賀県)とは、安全協定を結ばず再稼働の合意範囲からも外しています。また、事故時に機能しなかった原子力防災計画の見直しもいまだ途中です。

  国民の多くが、再稼働に反対し、周辺住民への説明もなされておらず、住民の「安心・安全」は後回しにされています。さらに京都府、滋賀県、大阪市などは夏場だけの「限定稼働」だけを認めています。周辺自治体は納得していません。政府の福島原発事故調査委員会が行っている東電福島第一原発の事故原因調査の結論も見ていません。

  「原子力規制庁」は、今だ未設置です。本来、「原子力・安全保安院」が解体され新たな規制機関を創設し、今春からそこが責任を持って規制行政を行うことが確認されていいました。原発の安全基準を策定する原子力規制委員会について、今後、「原子力ムラ」の影響を受けないよう監視を強めなくてはなりませんが、委員会の発足はまだされていません。そして、組織の廃止が決まっている原子力保安院が、40年以上の原発稼働を認める見解を出しています。もちろん、一貫して原発を推進してきた自民党も「40年で廃炉」には反対しています。廃炉に規制機関の設置もないまま再稼働は、「安全神話」「原子力ムラ」を擁護、放置することにつながります。

  大飯原発敷地内を走る軟弱な断層(破砕帯)が近くの活断層と連動して動き、地表がズレる可能性があることが指摘されています。原子力安全委員会の斑目春樹委員長も、6月7日の記者会見で「最新の知見が出たならば、原子力・安全保安院で評価をしっかりやりなおすべきだ」との見解を示していますが、これも無視することになります。

  社民党はもちろん、政権与党の民主党内部からも、鳩山由紀夫元首相や小沢一郎元代表や副大臣・政務三役クラスも含めて110人を超える議員が再稼働反対の立場を表明しています。
誰が、どの議員が、原発再稼働を容認しているのか、きちんと見極めなければなりません。


20120723

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